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かれいは日本近海に四十種近くも棲息していますが、ヤナギムシカレイを原料とする一夜干しを若狭かれいと称し、地域団体商標として登録しています。ヤナギムシカレイの一塩ものは笹かれいと呼ばれます。
向笠千恵子著『和食は福井にあり』より焼き立てをいただいたら、塩をしたはずなのに味わいはあくまでほの甘く、純白の身は軽やかにほぐれた。ピンクに透けて見える卵はねっとりとして風味が濃い。うまいものはうまい。
若狭湾で豊富に水揚げされるレンコダイを、三枚におろし、塩と米酢だけで調理します。明治末期に、この小鯛に笹の葉をあしらって杉樽に詰め、京都へと運んだのが始まりです。
向笠千恵子著『和食は福井にあり』よりそっと口に入れると、刺身のような歯ごたえ。しっとりと鯛の味が広がり、そのあとを酢のうま味が追いかける。
御食国を代表し、京料理の主役にもなる魚です。正式名はアカアマダイ。味わいが深く、ウロコを取らずに焼く「若狭焼き」が有名です。
向笠千恵子著『和食は福井にあり』より「若狭もの」の花形は「ぐじ」こと甘鯛に尽きる。
福井の発酵食品の代表といえば「へしこ」です。鯖や鰯のぬか漬けのことで、特に腐りやすい鯖を美味しいまま保存できます。江戸時代から伝わる高度な食技術として知られています。鯖とぬかからDHAやタンパク質、食物繊維などの栄養が摂れ、最近では和食だけでなく、洋食にも頻繁に使われています。
向笠千恵子著『和食は福井にあり』よりぬかを落として軽く炙った焼きへしこ。塩辛くはなく、よく熟成しているぶん味が濃厚で、鯖のエキスがそのまま凝っている。さらに、ほんのりした焦げ香がいいアクセントだ。
若狭のなれずしは、塩出ししたへしこにご飯と米麹をまぶし、発酵させて作ります。食の世界遺産「味の方舟」に認定されています。
向笠千恵子著『和食は福井にあり』より口に入れると、みっしりした鯖の風味と、甘酸っぱいご飯が溶け合い、発酵の香りがふわりと立ち昇る。これは冷酒にぴったりだ。