大腸は長さが1.5mほどの管で、肛門に近い直腸と奥(口側)の結腸に分けられます。直腸がんよりも結腸がんの方が増加しています。
日本人の平均寿命が延長するにつれて増加し、2020年には大腸がん死亡は男性のがんの中では第3位、女性では第1位です。過去25年間に大腸がん死亡は男性では1.6倍、女性では1.7倍に増えています。(出典:公益財団法人 がん研究振興財団 がんの統計2022)
これまで、大腸がんの原因は食生活の欧米化、端的に言うと肉の食べ過ぎと言われて来ました。ただし、大腸がんになるほど赤い肉(牛肉・豚肉)を食べている人はいません。実は大腸がんの原因は、①年齢、②肥満や運動不足、③アルコール、④タバコです。便秘は大腸がんの原因ではありませんし、野菜を多く摂っても大腸がんの予防にはなりません。一方で、運動は大腸がんの危険を減らすことがわかっています。
大腸がんは乳がんと並んで遺伝するがんの代表です。両親・兄弟姉妹の中に2人以上の大腸がん患者がいる場合には、遺伝の可能性があります。
早期の大腸がんには症状はありません。下血、便秘、便が細い等は相当に進行してからの症状です。
大腸がんは早期がん(がんが粘膜・粘膜下層に止まる状態)で発見されればほぼ100%治りますし、進行がんであっても治りやすいがんです。ただし、ひとたび肝臓や肺に転移すると、治る確率は20%にも満たない状態です。ですから、大腸がん検診で、早期発見し、早期治療することが重要です。
方法 | 便潜血検査2日法 |
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対象年齢と検診間隔 | 40歳以上、毎年 |
→→要精密検査となるのは約20人のうち1人
精密検査で大腸がんが見つかるのは約25人のうち1人
大腸がんがあっても、毎日は出血しないのが特徴(大腸がんからの出血はある日もない日もあります)
大腸がん検診を受けると、大腸がんによる死亡の危険が40~60%も減ることがわかっていますが、繰り返し検診を受けても約10%の大腸がんは見つけられません。
※便潜血が陰性でも、その後に肛門出血等が現れた場合には、精密検査が必要です。
便潜血検査よりも精度の高い検診方法として、内視鏡の有効性を調べる研究が日本で進行中です。
内視鏡では病気を早く見つける力がある一方で、事故の危険性等の問題点があるためまず研究が必要です。