私は二十数年前から、企業の現場における子育て支援等のワークライフバランスやダイバーシティを研究してまいりました。
2005年には、中小企業庁から委託を受けて、『中小企業白書2006年版』の第3部「少子高齢化・人口減少社会における中小企業」の第3章「子どもを産み育てやすい社会」に向けた中小企業の役割、に掲載されている各種データを作成しました(http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h18/H18_hakusyo/h18/)。
しばしば「ワークライフバランスは、人員体制に余裕がある大企業でないと、できない」と言われますが、こうした認識が間違っていることを、『中小企業白書2006年版』に掲載されている各種データは示しています。
たしかに中小企業は、仕事と子育て等の両立をはじめとするワークライフバランス支援の制度が整っているわけではありません。しかしながら、制度以上に「風土」の方が重要です。中小企業では、社員と経営陣の距離感が近いという特徴を生かして、社員一人ひとりのご家庭の事情に合わせて臨機応変な柔軟な対応をしてきた職場風土があるところが少なくありません。
そうした職場風土を定量化するために、2004年に「企業の合計特殊子宝率」を開発し、顧客企業のコンサルティング等に使用してまいりました。
福井県は、全国の自治体の中では最初に「企業子宝率」に関心を持ってくださり、平成23年度から県内企業を対象に調査してきました。最近では、企業子宝率調査の動きは、他の自治体にも広がり始めています。
最近、我が国では、地方創生が大きな国家的課題となっています。²これまで若年層は地方から都市部に流入する一方通行でした。しかし、今後は、地方出身で都市部で暮らしている若年世代のUターンや他地域からのIターンを増やす必要があります。若い世代の間には、生活環境の良い地方で子育てしたいというニーズが高まっています。都市部で働きながら子育てするよりも、地方で働きながら子育てする方がやりやすく、生活が充実しています。企業子宝率が高い企業にスポットが当たることで、生活環境の良い地方で子育てしたいという若年層のニーズが高めることを期待しております。
なお、上述のとおり、企業子宝率の算出方法および名称の使用権を含む、すべての知的財産は渥美由喜に帰属しています。福井県以外の自治体、企業が使用なさる場合には、必ず事前に渥美由喜(#)まで、使用許諾をご連絡ください。